こんにちは。今回は、「無視する人の心理」について、その背景や原因、そして対処法についてお話しします。あなたは、人から無視された経験はありますか?
人間関係のトラブルの中でも、「無視」はとても身近な行為なのではないでしょうか?
実は、「無視」は「受動攻撃」といって、間接的もしくは受け身的態度で相手を攻撃することなのです。
どういうことか、解説していきます。
受動攻撃とは?
受動攻撃とは、正確には「受動的攻撃行動」といって、相手に対する怒りや否定的な感情などを、直接表現するのではなく「黙り込む・義務を怠る」など後ろに引くことで間接的に表現して相手を攻撃するという心理学用語です。
もともとは、アメリカの軍隊で上官に対する不満を直接表現できない兵士が、自分に課せられた仕事をわざと遅らせて上官を困らせるという事例から生まれた概念です。
受動攻撃の典型例
受動攻撃をする人は、相手と直接コミュニケーションして対峙することを避けています。
「無視する・ため息をつく・不機嫌になる・ふてくされる・嫌味を言う」などは、受動攻撃の分かりやすい例です。
中でも「無視」は、典型的な受動攻撃ですが、このような行動をいつも行っていると、意地悪で性格の悪い嫌な人ととらえられてしまい、周りの人からは敬遠されるようになります。
受動的攻撃行動=Passive Aggressive
アメリカなどの英語圏などでは、受動攻撃性のある人のことを“Passive Aggressive Person”と呼ぶなど、ネガティブなパーソナリティを表わす概念として日常的に使われています。
日本人に多い?「無視」の正当化
相手に対していやだと思う事、納得いかないことがある時は、それを言葉で直接伝えるべきです。
しかしそれをせずに、「言葉で言わなくても空気を読んで察しろ」という意図をもって、わざと何も言わない、または相手を無視する、といった歪んだ形のコミュニケーションをとることを、特に日本人はよくやりがちでは無いでしょうか?
相手からされた経験だけではなく、実は自分も人に対してやってしまったことがある、と思い当たる人も多いかもしれません。
あまり健全な形ではないと分かりつつも、時には必要なコミュニケーションの一つとして正当化して扱うような暗黙の了解が、日本の社会にはある気がします。
無視の対処法
そうはいっても、「無視」とはやはり相手にダメージを与える間接的な攻撃です。
この攻撃から自分の身を守るには、どうすればよいのでしょうか?
ここでは、2つの方法をご紹介します。
- 一つ目に、無視してくる相手と距離を取る
- 二つ目は、直接対峙をする です。
一つずつ、見ていきます。
①距離を取る
無視をしてくる相手が、自分にとって重要な存在では無かったり、距離を置いても問題のない相手であるなら、まずはやはり距離を置くことが良い方法です。
受動攻撃をする人はそれが自分の防衛手段として身に沁みついているケースもあり、そのような相手を変えることは難しいです。
ですから、自分を守るためにその人と接触する機会を減らす、なくす。
または、どうしても接触せざるを得ない相手であるなら、相手のしてくることに対して感情的にならず、一貫して事務的に対応することで心理的な距離をとり、心にダメージを受けないように対処します。
➁直接対峙をする
そのうえで、受動攻撃をしてくる相手が家族であったり、職場の上司や先輩などでどうしても距離を取ることが難しい関係性の場合、その対処法は、「直接対峙」をすることです。
直接対峙とは、自分から直接相手に対してあえてダイレクトな質問をするといったようなことです。
例えば、仕事で自分が投げた質問に対して相手が無視して返事をしない場合には、「お返事が無いようなのですが、これはどういう風にしていけば良いでしょうか?」のように聞いてみる。
または、夫が機嫌を損ねて無視攻撃をしてくる場合なら、「無視しても分からないから言葉でちゃんと伝えて。」と伝えるなどです。
「無視」をする人は、直接的なコミュニケーションを恐がっているので、家族や仕事相手などのように円滑なコミュニケーションが不可欠な相手の場合には特に、直接聞くという事を自分からあえて持ち掛けていくことが非常に大切になります。
無視する人は相手を選んでいる
相手がなぜ自分を無視つまり受動攻撃をしてくるのか、その理由を知っておくことも攻撃を予防する助けになります。
受動攻撃をする人は時に、自分に対して反撃してこない相手や逆らわないタイプの人を攻撃対象に選んでいることがあります。
自分はなぜかいつもいろんな人から無視されやすい、受動攻撃的な行動をとられやすいと感じている人は、自分が受動攻撃を受けやすい資質を持っていないかどうか、一度チェックしてみることをお勧めします。
無視(受動攻撃)されやすい人の特徴
無視(受動攻撃)されやすい人の資質とは、
- ①相手の機嫌を気にしすぎてしまう
- ➁他人からの評価をいつも気にしてしまう
- ③不機嫌な人がいると気になって自分から近づいていってしまう
などです。
これらの特徴を持つ人は、人からの攻撃や支配を受け入れやすい傾向があり、そのために相手はますます無視などの受動攻撃を仕掛けてくるといった悪循環が生じるのです。
このような場合、あなたがきっぱりと自分の意志を示すことがとても大切です。相手からなめられて、支配されないようにしましょう。
自分も相手を無視(受動攻撃)する傾向がないか?
また、無視などの受動攻撃をされやすい人は、その人の幼少期の親子関係などで、親から受動攻撃を受けながら育ったという人も多いです。
受動攻撃の中でも何とか自分が生き延びるために、親の顔色をいつも気にしなければならなかったり、機嫌を一生懸命とらなければいけなかったので、それが身に沁みついていて、大人になってからも受動攻撃をしてくる人につかまりやすいといったことになりがちです。
また、自分がされた受動攻撃を人にもしてしまうという事も残念ながら良くあります。
親から学んだコミュニケーション方法が、受動攻撃だったからです。
無視をされない・しないために
最後に、相手から受動攻撃されず、自分も相手に受動攻撃をしないために出来る改善策は何でしょうか?
それは、先ほどもお話ししたように、自分から直接対峙をもちかけることです。
言葉で具体的に、丁寧に、コミュニケーションを自分からとりにいくことです。
伝えたいこと、本音を伝えることは難しいと言った人もいるかもしれません。
受動攻撃を受けやすい人には、普段から自分の言いたいことをぐっと我慢してしまうという人も多いからです。
そんな人は、ほんの些細なことでもよいので、自分の言いたいことを普段から相手に伝える練習をすることも助けになるでしょう。
相手に直接言えない場合、紙に書く、相手に見立てたぬいぐるみや、誰も座っていない椅子に向かって話すという練習方法が有効です。
まとめ
まとめます。
日本人に多い「無視」するという行為、それは実は受動攻撃という間接的な相手への攻撃方法です。
それは、本当に相手に言いたいことは伝えずに、態度や行動で相手を攻撃するという不健全な歪んだコミュニケーションで、人間関係を破壊する素となります。
適切な距離を取ったり、直接対峙をすることで適切に対処し、人から支配されることもすることもない、自由で自分らしい人生を、あなたも歩むことが出来るようになります。
自分が出来る、小さな取り組みから、始めてみませんか?
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